全てを包み込む母なる宇宙

令和の時代を迎え、皇后として即位された雅子様の婚礼衣装を奉納した人物。

それが12代藤林徳扇です。

藤林家は、最初は薬から始まり、代々京都で天皇家の衣装を作ってきた一族です。

しかし、華やかに見える人生を語るには、凄惨で強烈な戦争体験と切り離すことはできません。極限状態の中、自ら命を絶つ仲間の姿、捕虜として捕まったシンガポールで上官たちが戦犯として目の前で次々絞首刑になる姿を見送り、彼自身も死を覚悟しました。

それでも、なんとか命を繋いで生きて日本に帰ってくることができたからこそ、彼は決意しました。

それは、「戦争では負けたけど、伝統工芸では世界一になろう」。負けず嫌いな性格に火がついたのです。

そこから、芸術界のノーベル賞と言われるユネスコ・パリ本部認定のユネスコ・グリーティング・アーティストに3年連続選出されるようになり、ダライ・ラマ法王やローマ法王、世界中に平和の象徴として12代藤林徳扇の作品は寄贈されて、彼の夢はすぐそこまできていました。

「絵を通して世界平和を伝えたいんです。芸術の力はすごいんです」そう語り、未来に美しいものと心を残すために少年のようにずっと走り続けてきた12代徳扇の生前最後の夢。

それは宇宙で展示会を行うことでした。

未知への憧れと、世界の人々が夢を見続けられる平和な世界を願った作品を彼が夢見た宇宙をイメージした空間で、ぜひご覧ください。